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新米 値上がりの公算 品薄で需要増、資材高騰


新米 値上がりの公算 品薄で需要増、資材高騰 主な産地の概算金
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 2024年産米の価格が値上がりする公算が大きくなっていることが28日、共同通信の調査で分かった。足元でコメの品薄感が続き、新米への需要が高まっているためだ。資材も高騰し、JAグループが生産者に仮払いする「概算金」は、前年に比べ2割以上の増額提示が相次いでいる。店頭価格に一定程度、反映される見通しで、今後の収穫次第では需給が引き続き逼迫(ひっぱく)し、家計の負担が増す懸念がある。
 概算金の水準はコメの在庫や消費動向などを踏まえ、JAグループが銘柄ごとに決定。出荷の際に生産者に支払われる。概算金はJAなどの出荷業者と卸売業者の間で取引する「相対取引価格」に影響する見込みだ。
 JA全農にいがた(新潟市)がこのほど県内のJAに提示した概算金は、「一般コシヒカリ」の1等米で60キロ当たり1万7千円と前年に比べ約2割高だった。金額にして3100円のプラス。
 JA全農とやま(富山市)は、コシヒカリが約2割高の1万6千円。全国でいち早くコメの収穫が始まった鹿児島県内では、7月時点でコシヒカリに約5割高の1万9200円前後が提示された例もあった。
 今後は関東や東北でも順次出荷が進む。北海道のJA関係者は、出始めの相場は需給を反映して高くなると指摘した。卸売関係者は「農家の経営のため物価高を反映する必要はあるが、消費者と折り合える価格設定も重要だ」と話した。
 23年産米は高温障害などが発生して流通量が不足し、価格が上昇。一部のスーパーなどでは品薄にもなっている。民間調査会社は24年産米の作況は「平年並み」と見込むが、台風などの状況に注意が必要だ。
 坂本哲志農相は27日の閣議後記者会見で、24年産米の生育は順調とした上で「品薄状況は順次回復していくと見込んでいる」と強調した。
 コメの概算金 JAグループがコメを集荷する際に、地域の農協を通じて生産者に支払う前払い金のこと。全国農業協同組合連合会(JA全農)の県本部などがコメの作付け状況や消費動向を踏まえて決め、地域の農協が手数料や流通経費などを差し引いて支払う。農家の生活や営農に必要な資金が不足しないよう毎年秋ごろに支払い、JAグループが高値で販売できれば追加分も払う。