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星空観察の「光害」出しにくい公衆トイレ登場 蓄光技術で無電力の標識 沖縄・辺戸岬


星空観察の「光害」出しにくい公衆トイレ登場 蓄光技術で無電力の標識 沖縄・辺戸岬
この記事を書いた人 Avatar photo 玉寄 光太

 【国頭】国頭村は、蓄光技術を活用した案内標識を8月上旬に辺戸岬の公衆トイレに設置した。ほの明るい光で星空観察への影響を減らしつつ、夜間に訪れる観光客の安心や安全につなげる狙いだ。

 蓄光技術を用いた製品の研究開発などを手がける「humorous」(ユーモラス、東京都、田村勇気社長)の製品「ナイトコンシェルジュ」を使った。「ナイト―」は、従来、避難標識に使われていた蓄光素材を活用した製品。日中に太陽光を吸収・蓄積することで、約12時間、夜間に青白い光を発し続ける。照明灯などの光による星空観察への悪影響を防ぐために、天文台の誘導灯などに設置されてきた。

 電力を必要とせず、動物や植物にも無害な素材でできており、環境にも優しい。

 現在、村は村内4カ所を米国NPOが認定する「星空保護区」として登録するための準備を進める。登録には空から暗さを奪い、野生生物の成長も妨げる「光害(ひかりがい)」の影響をなくす必要がある。

辺戸岬のトイレに設置された「ナイトコンシェルジュ」による案内標識=16日、国頭村辺戸岬

 現時点で辺戸岬は登録申請の予定地に含まれていないが、今後の申請に向け、夜間は自動販売機の照明を落とすなど取り組んできた。一方で観光客の安全対策などの課題もあったことから、今回の導入を決めた。標識デザインには村公式キャラクターのくーやんも取り入れた。

 村の担当者は「ゆくゆくは村内各所で導入していきたい。今回はその先駆けだ」と語った。

 田村社長によると、沖縄は全国と比較して蓄光量が約1・5倍で親和性があるという。その上で「あるがままの自然を尊重しながらできる暗闇対策として、沖縄でも広まってほしい」と話した。 

(玉寄光太)