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「移住婚」支援金を撤回 地方創生相、再検討指示 未婚女性限定に批判


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 自見英子地方創生担当相は30日の記者会見で、結婚を機に地方移住する「移住婚」の女性に支援金を支給する構想を事実上撤回する方針を明らかにした。若い女性の東京への流出が続く中、一極集中の是正につなげる狙いだったが、対象を未婚女性に限ったことに、交流サイト(SNS)などで批判が殺到。支援内容の再検討を内閣官房の事務方に指示した。
 現行の支援金は、男女を問わず東京23区の居住者か、東京圏(埼玉、千葉、東京、神奈川)から23区に通勤している人が対象。引っ越し先での就業などが要件で、単身者の場合、最大60万円支給している。
 内閣官房は、制度を拡充し、結婚で移住する女性は就業予定がなくても支給対象とする方向で構想を描いていた。金額の上乗せや婚活イベントへの交通費支給なども検討し、2025年度予算の概算要求に関連経費を盛り込む方針だった。
 しかし、SNSなどで「国は女性はお金で動くと思っているのか」などと批判が噴出。地方から女性が流出する原因は、雇用面などでの男女格差だとの指摘があり、政府内からも「根本的な課題に向き合わずして、婚姻で地方へ呼び寄せる施策は筋が悪すぎる」(矢田稚子首相補佐官)などと異論が出ていた。
 自見氏は「男女の賃金格差やジェンダーバイアス(性別に基づく固定観念)などで苦しんでいる国民の声にしっかりと耳を傾けた上で対応する」と述べた。23年の人口移動報告によると、東京都は転入者が転出者を上回る「転入超過」が約6万8千人で、うち女性が約3万7千人。