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企業経常益 最大35兆円 4~6月統計 円安で輸出押し上げ


企業経常益 最大35兆円 4~6月統計 円安で輸出押し上げ 売上高と経常利益、設備投資額の増減率
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 財務省が2日発表した2024年4~6月期の法人企業統計によると、金融・保険業を除く全産業の経常利益は前年同期比13・2%増の35兆7680億円だった。四半期ベースとして比較可能な1954年以降で過去最大。プラスは6四半期連続で、歴史的な円安が輸出企業の収益を押し上げ、インバウンド(訪日客)の伸びも貢献した。
 23年度の経常利益は前年度比12・1%増の106兆7694億円だった。初めて100兆円を超え、3年連続で過去最大を更新した。企業の内部留保に当たる利益剰余金は8・3%増の600兆9857億円と、12年連続で過去最大となった。
 24年4~6月期の経常利益の内訳は、製造業が前年同期比13・0%増の12兆7294億円、非製造業が13・3%増の23兆386億円で、いずれも過去最大。製造業は自動車の海外販売が好調で輸送用機械が伸びたほか、情報通信機械も人工知能(AI)向けの需要が拡大した。非製造業は訪日客の回復や新規出店の増加でサービス業が好調だった。
 全産業の設備投資は7・4%増の11兆9161億円、売上高は3・5%増の368兆9593億円。財務省は、景気は緩やかに回復しているとしつつも「海外景気の下振れや物価上昇の影響を注視する」と総括した。
 法人企業統計を踏まえ、証券会社など3社が4~6月期の国内総生産(GDP)改定値を試算した。物価変動の影響を除く実質の平均は前期比年率3・2%増で、速報値の年率3・1%増とほぼ同じ。
 自動車の認証不正問題の影響が和らぎ個人消費や設備投資が改善する構図も変わらない。内閣府は4~6月期の実質GDP改定値を9日に発表する。