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サイバーリスク31兆円 国内上場企業の損失 三菱総研試算


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 サイバー攻撃による国内上場企業の潜在リスクを三菱総合研究所の石黒正揮主席研究部長が試算したところ、計約31兆円に上ることが3日、分かった。国内総生産(GDP)の約5%に上る規模。被害企業が負担を強いられる情報システムの復旧費に加え、信用失墜やブランド価値の低下、顧客離れによる経済損失を推計した。
 石黒氏は「企業はサイバー攻撃による被害を過小評価せず、対策に適正な費用をかけるべきだ」と指摘している。
 上場企業の被害事例を統計分析し、大規模なサイバー攻撃を受けると経済損失は平均で時価総額の3・18%に相当するとの推計結果を得た。
 この推計結果を国内上場企業約3900社の今年5月末の時価総額(計約990兆円)に当てはめ、サイバー攻撃を受けた際の潜在的な損失リスクは全体で約31兆円になると算出した。
 このうちITシステムの復旧費や顧客への損害賠償など直接的な損失リスクは約19兆円と見込んだ。信用失墜などで企業価値が低下するなどの間接的な損失リスクは約12兆円になると推定した。
 6月に身代金要求型コンピューターウイルス「ランサムウエア」の被害を受けた出版大手KADOKAWAのように、漏えいした個人情報が拡散するなどの二次被害が起きると、さらに損失が拡大する可能性がある。