有料

食料安保強化へ事業者支援 農水省検討 取り組み認定で税優遇


食料安保強化へ事業者支援 農水省検討 取り組み認定で税優遇 農林水産省が検討する新制度のポイント
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 農林水産省が食料安全保障の強化に向け、食品生産などを手がける事業者への支援制度の新設を検討していることが3日、分かった。原材料の調達先である農業者との連携を強めたり、食料に先端技術を活用する「フードテック」で新事業創設に取り組んだりする事業者への税優遇や長期低利融資が柱となる。政府、与党が年末に決定する税制改正大綱に明記し、2025年の通常国会に関連法案を提出したい考えだ。
 農水省は、ウクライナ危機に伴う穀物の輸入価格上昇や国内の生産者減少などを受け、国内食品産業などの発展に向けた具体策を協議してきた。今年5月に成立した改正食料・農業・農村基本法では食料安保の確保を基本理念に掲げ、食料を持続的に供給するための事業の促進を盛り込んだ。
 農水省が検討する新制度では、農業者との連携で地域をリードする意欲があったり、食品生産につながる先端技術の開発や環境負荷低減に取り組んだりする事業者への支援を想定。国から認定を受けた事業者が税優遇や低利融資などの対象となる仕組みだ。
 食品事業者は中小企業が大半で、事業基盤の強化も課題となっている。新制度では事業承継や企業の合併・買収(M&A)を通じて小規模な食品事業者の中堅企業化も後押しする方向だ。
 農水省は新制度の実現に向け、認定された食品事業者への所得税や法人税、登録免許税の優遇措置を25年度税制改正要望に盛り込んだ。
 食料安保の確保を巡っては、新制度とは別に、農業者などが高騰する生産コストを価格に転嫁しやすくする具体策も検討している。
 食料安全保障 国民が良質な食料を合理的な価格で安定的に手に入れられるようにすること。5月に成立した改正食料・農業・農村基本法では食料安保の確保が基本理念に掲げられた。最近はウクライナ危機や気候変動、世界の人口増加などで食料の安定供給に対する懸念が高まっている。