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金融庁、生保全41社調査へ 広告費で代理店便宜か 勧誘、顧客に悪影響も


金融庁、生保全41社調査へ 広告費で代理店便宜か 勧誘、顧客に悪影響も 生命保険販売と広告費のイメージ
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 金融庁が国内生命保険全41社を対象に、販売代理店に支払ってきた広告費の実態調査に乗り出すことが6日、分かった。調査は業界団体の生命保険協会(生保協)と共同で実施する。生保が契約を獲得するために代理店に広告費名目で多額の現金を支払い、自社の商品を優先的に販売してもらった疑いがあるためだ。生保から過度な便宜供与を受けた代理店の顧客にはニーズに合わない保険を勧められるなどの悪影響が出た可能性がある。
 損害保険大手4社でも代理店を通じて250万件に上る顧客情報の漏えいが発覚したばかり。生保でも代理店とのもたれ合いがはびこっていた疑惑が浮上した。
 生保協が全会員に対し、代理店への広告費支払いの実態などについて報告を求める文書を9日にも送付する。金融庁は10月上旬までに生保協から各社の回答内容の報告を受ける。調査の結果、代理店が顧客に提案する商品が広告費の有無などで決まっていたことが確認できれば、顧客第一の保険販売を徹底させる具体策を検討する。
 代理店には、店舗内に設置した電子看板や自社のホームページに生保の広告を掲載し、生保から広告費を受け取っているケースがある。
 金融庁は7月、過度な便宜供与と疑われかねないとして「マネードクター」のブランドで全国に約150拠点を展開する大手代理店「FPパートナー」(東京)に広告費を支払っていた生保への実態調査に着手。今回の調査で対象を全生保に拡大する。
 関係者によると、FP社にはアフラック生命保険が2023年度に9600万円、SOMPOひまわり生命保険が23~24年に7千万円、東京海上日動あんしん生命保険が23年度に2700万円、メディケア生命保険が24年に2600万円の広告費をそれぞれ支払った。
 金融庁は、FP社が多額の広告費の見返りに、特定の生保の商品を販売した営業担当者の人事評価を上げていた疑いもあるとみている。