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食害魚を犬用フードに 長崎・五島市 “厄介者”で磯焼け対策


食害魚を犬用フードに 長崎・五島市 “厄介者”で磯焼け対策 「食べる」磯焼け対策のイメージ
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 海藻を食い荒らす“厄介者”をドッグフードに―。立命館大発スタートアップの「オーシャンリペア」(福岡市)が長崎県五島市でそんな事業に乗り出した。魚のすみかが砂漠化する磯焼けが深刻化する中、一因とされる食害魚を商品化し、海の環境回復につなげる狙いがある。代表の光斎翔貴(こうさいしょうき)さんは「食害魚がペットの健康を守る宝物に生まれ変わる」とPRした。
 食害魚はイスズミとアイゴ。独特な臭みがあることから人が食べる習慣がほとんどなく、漁で水揚げをされても海に捨てられていた。光斎さんらは、イスズミとアイゴの脂質が低い点に着目。ドッグフードの原料として使えば、犬の胃腸や腎臓に負担が少ない健康フードにできることに気付き、製品化にこぎ着けた。食害魚は漁師から1キロ当たり100円で買い取り、地域の漁業振興にも役立てる。
 ドッグフードは500グラム入りで3500円と一般的な商品より割高だが、国産で品質が高く、愛犬の健康を気にする消費者を中心に一定の需要を見込む。今後は猫向けの商品開発を目指すほか、実際に藻場の回復につながったかどうかも検証していく方針だ。