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副業で地域支援、第1号 東京海上社員、週末栃木に 民間企業のノウハウ、町のPRに


副業で地域支援、第1号 東京海上社員、週末栃木に 民間企業のノウハウ、町のPRに 栃木県那須町で副業を始めた東京海上日動火災保険の平山寧さん=7月、東京都千代田区
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 損害保険大手の東京海上日動火災保険の男性社員が8月から、副業として週末に栃木県那須町に足を運び、移住支援などの地域おこしに取り組んでいる。政府は東京、名古屋、大阪の三大都市圏の大企業で働く会社員らが持つ知見を地方自治体の運営に生かすため、2024年度から財政支援の枠組みを設けており、この制度適用の第1号とみられる。
 この社員は東京都江東区在住の平山寧(やすし)さん(50)で、東京海上では保険商品の開発を手がけている。那須町は総務省の「地域活性化起業人制度」に基づき、平山さんに「2地域居住」の推進業務を委嘱した。関連経費は国が負担する仕組みだ。
 2地域居住は、平日は都市で働き、週末は地方でのんびり過ごすといった新たなライフスタイルとして注目されている。
 平山さんは2地域居住の希望者を対象にした体験ツアーの企画や移住者向けアプリの改良といった業務に従事している。「社会課題にじかに触れられる貴重な機会」といい、損保の本業にも「良い刺激を受けている」と話す。
 副業を始めたきっかけは、別荘の購入やテレワークなどを通じて那須町の担当者と交流が芽生えたことだ。町ふるさと定住課の高久(たかく)祐一課長は「平山さんが民間企業で培ったノウハウを町のPRに生かしてほしい」と期待する。
 平山さんは「副業で地域に貢献したい会社員は多いのではないか」と話し、起業人制度が知られるようになれば、官民の交流はより広がるとみている。総務省によると、この制度は三大都市圏外の1432市町村が活用できるという。