スーパーなどの店頭に出回り始めた2024年の新米価格が、店舗によっては昨年に比べて3~9割高と高騰していることが10日、共同通信の取材で分かった。23年産米から切り替わるタイミングで、コメの需給が逼迫(ひっぱく)していることが要因。今後は主産地から出荷が本格化し、品薄は解消する見通しだが、新米価格は昨年より割高となる公算が大きい。
スーパー大手の関係者は需要の増加や農家のコスト増で「コメの価格は各地で上昇傾向だ」と説明する。東京都内の大手スーパーにコメを卸す業者によると、昨年に比べて新米1キロ当たり100円ほど卸売価格が上がったという。大阪市内のスーパーの店長は「ここまで値上がりするのは初めて。入荷してもすぐに売り切れてしまう」と話す。
都内の米穀店では茨城県産ミルキークイーンが昨年の5キロで2500円から3割高の3250円で店頭に並ぶ。埼玉県内のスーパーでは茨城県産あきたこまちを9割高の約3200円で販売。新潟市のJAの直売所では新潟県産こしいぶきが6割程度高く、水戸市の販売店では茨城県産コシヒカリが3割程度高く売られていた。
23年産米は昨夏の猛暑による品質への影響で流通量が減るなど、民間在庫量が手薄となった。生産コストは上昇し、JAグループが生産者に仮払いする24年産米の「概算金」は、前年に比べ増額提示が相次いでいる。その結果、出回り始めた新米価格の上昇につながったようだ。
今後は主産地のコメの出回りが本格化する。
坂本哲志農相は「需給バランスの中で一定の価格水準に落ち着く」と説明し、卸売業者などに対しては、円滑な流通に取り組むよう要請している。
日本総合研究所の三輪泰史チーフスペシャリストは、今後の24年産米の価格見通しについて「資材やエネルギー、人件費などの上昇を反映して昨年より1割程度高い水準になるのではないか」と話した。
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<用語>コメの需給
主食用米の需要は食生活の変化や人口減少を受けて毎年10万トンのペースで減っている。政府は飼料用米や麦への転作を促すことで、需要に見合った生産量になるよう調整してきた。2024年6月まで1年間の需要実績(速報値)は10年ぶりに増加に転じて702万トン。6月末時点の民間在庫量(同)は156万トンで、統計を取り始めた1999年以降で過去最少だった。
(共同通信)