有料

JR貨物、全列車運行停止 データ改ざん、国交省処分も 荷物に遅れの地域も


JR貨物、全列車運行停止 データ改ざん、国交省処分も 荷物に遅れの地域も 函館―札幌間を走るJR貨物の貨物列車=2022年10月、北海道長万部町
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 JR貨物は11日、列車の車輪に車軸を通す作業で、日本産業規格(JIS)で定められた基準値を超える圧力をかけていたのにデータを改ざんするなどの不正があった問題を受け、全ての貨物列車の運行を停止したと発表した。全面停止は極めて異例。11日中の運行再開を目指して安全確認を急ぐ。ヤマト運輸と佐川急便は、地域によって荷物の配達に遅れが生じると発表した。
 国土交通省は11日、鉄道事業法に基づきJR貨物を立ち入り検査した。輪西車両所(北海道室蘭市)、川崎車両所(川崎市)、広島車両所(広島市)に立ち入った。安全管理体制を調べ、行政処分や指導を検討する。
 JR貨物によると、不正を確認するなどした機関車4両と貨車560両のほかに、新たに貨車300両でも不正の可能性が判明した。安全が確認できた列車から順次、運行を再開する。貨車1両当たりの積載量を増やすなどして、物流への影響を最小限に抑えるとしている。
 JR貨物の犬飼新社長は東京都内で記者会見し「お客さまや関係する皆さまにご心配、ご迷惑をおかけし、心よりおわび申し上げる」と陳謝した。「作業員の認識が甘く、不正行為につながった。重く責任を感じている。原因究明と対策に注力する」とも語った。
 JR貨物は10日、データ改ざんなどの不正と、該当する機関車4両と貨車560両の運用停止を発表した。新たに貨車300両でも不正の可能性が判明したため、全列車の運行を停止した。
 車輪の中心の穴に車軸をはめ込む際に基準値を超す圧力をかけていた。部品同士が強くこすれて傷が付いていた場合、そのまま走行を続ければ、車軸の傷が拡大するなどして破損する恐れがあり、最悪、脱線の可能性もある。
 JR貨物は機関車や貨車など約7千両を保有し、1日に約400本の列車を運行している。