全国のスーパーで8月に販売したコメ5キロの平均価格が前年同月と比べ427円上昇し、2266円だったことが13日分かった。2023年産米の流通量が天候不順で不足したことに加え、災害を受けた買いだめも起きたため。足元では24年産の出荷が本格化しており、品薄は解消に向かう見込みだ。一方で農家の生産コスト増もあり、価格は前年に比べて高止まりする懸念も出ている。
調査会社「True Data」(トゥルーデータ、東京)が、販売時点情報管理(POS)データを分析した。
前年8月の平均価格は1839円で、23年産が出回り始めた9月には1878円だった。今年春からコメの流通不足が懸念されて上昇し、6月には2千円を突破した。
それでもコメの需要が縮小しなかったのは、物価高による節約志向の高まりで、パンなどと比べ割安と受け止められた事情がある。インバウンド(訪日客)が増加し、スーパーでコメを仕入れる中小飲食店の購入量も増えたとみられる。
そこに南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)や台風により、災害に備えた買いだめも起きたことが品薄と価格上昇に拍車をかけた。
24年産を巡っては、肥料や燃料代などの高騰を踏まえ、各地のJAグループが生産者に仮払いする「概算金」は、前年よりも増額提示が相次いでいる。新米の店頭価格が前年比で9割高となっている店舗なども確認されている。
坂本哲志農相は、24年産の生育は全国的に順調だと強調。「円滑な流通が進めば、一定の価格水準に落ち着く」とアピールしている。業界関係者によると、品質は高温障害などが起きた23年産と比べ、一部地域で良好との見通しも出ている。
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コメ5キロ 1年400円上昇 全国 8月2266円、高止まり懸念
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琉球新報朝刊