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医療費3割負担 拡大検討 75歳以上 政府6年ぶり大綱改定


医療費3割負担 拡大検討 75歳以上 政府6年ぶり大綱改定 高齢社会対策大綱のポイント
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 政府は75歳以上(後期高齢者)で医療費窓口負担が3割となる人の対象範囲拡大の検討を加速させる。高齢化対策の中長期指針「高齢社会対策大綱」の改定を13日に閣議決定し、方針を明記した。改定は2018年以来6年ぶり。超高齢社会を迎えて医療費の増加に歯止めがかからない中、公的医療保険制度の持続性を高める狙い。
 年金制度の見直しや高齢者の就労促進も記載した。岸田文雄首相は閣議に先立つ官邸の会合で「全ての世代が超高齢社会を構成する一員として支え合う未来を切り開くよう、各種施策を着実に実行してほしい」と関係閣僚に指示した。
 75歳以上の窓口負担は原則1割。一定の所得があれば2割、単身で年収383万円以上など現役並みの所得の場合は3割で、所得に応じた「応能負担」となっている。「現役並み所得」の基準見直しは、政府が23年末に決めた社会保障の歳出改革工程表で28年度までに実施の可否を協議するとしていた。
 大綱は、高齢期に働くと年金が減額される「在職老齢年金制度」の見直しを含め、働き方に左右されない年金制度を構築すると盛り込んだ。
 年齢だけで「支える側」と「支えられる側」を分けない「新たな高齢期像」を提示。高齢者も希望に応じて就労や社会参加できる環境を整備する。23年と比べた29年の数値目標として、65~69歳の就業率を52%から57%へ、70歳まで働ける企業の割合を29・7%から40%に引き上げることも掲げた。
 増加を見込む単身高齢者の住まい確保も進める。高齢者の入居を拒まない賃貸住宅を増やし、居住時に福祉や相続の相談に応じる体制をつくる。
 身寄りのない高齢者の支援も推進。身元保証サービスを提供する民間事業者とのトラブルを防ぐため、適正な事業運営を徹底させる。
 認知症の人を地域で支える「認知症サポーター」の養成や、高齢者を見守る民生委員の担い手不足の解消も目指す。