農林水産省は14日、ブラジルで開かれていた20カ国・地域(G20)農相会合で、食料生産と供給の強靱化(きょうじんか)を確認する共同宣言を採択したと発表した。合意文書の採択は3年ぶり。農業や漁業が気候変動の危機に直面し、世界的に食料不安が悪化していると危機感を示した。日本からは坂本哲志農相が出席し、サプライチェーン(供給網)を強化するために「貿易の透明性と予見性を確保する必要がある」と訴えた。
会合は12~13日に開かれ、ロシアや中国も出席。坂本氏の発言は、ロシアのウクライナ侵攻に伴い穀物の輸出が停滞したことや、日本産水産物の禁輸を続ける中国も念頭に置いたとみられる。
2022年と23年は、ウクライナ侵攻を巡り参加メンバーに意見の隔たりがあり、合意文書の採択は見送っていた。
共同宣言は、世界で7億人以上が慢性的な栄養不良状態にあると指摘。技術協力やイノベーションの促進を通じて、農業と食料システムをより持続可能なものにするべきだと強調した。国際的な供給ルートの多様化も重要とした。
農水省によると、坂本氏は危機時でも食料供給を確保するため「不当な輸出規制の回避が必要だ」とも述べた。
議長国ブラジルは議長声明を出し、ウクライナやガザ情勢に関し出席者の間で異なる意見があったとした上で、これらの問題は今後の会合で議論すると説明した。
坂本氏は会合に先立ち、11日にブラジル最大都市サンパウロで開かれた日本食材の輸出促進イベントで、北海道産ホタテなどをPRした。
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食料供給強靱化を確認 G20農相会合 3年ぶり共同宣言
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琉球新報朝刊