日本旅行業協会の高橋広行会長(JTB会長)=写真=は14日までに共同通信のインタビューに応じ、18歳になった新成人に対し、旅券(パスポート)を無料配布するよう政府に要請していくと明らかにした。海外旅行は新型コロナウイルス禍後に「円安や旅行費用高騰などが重しとなり、回復がすこぶる鈍い」とし、若年層の意欲を高める施策として政官界に働きかける。
政府観光局によると、2024年1~7月の日本人出国者数は684万6800人と新型コロナウイルス禍前の19年の同期間を38.9%下回った。日本の旅券保有率は23年時点で約17%にとどまり、高橋氏は「若者が海外渡航する機会も極端に失われており、日本を背負って立つ国際感覚を持った人材を育てる上で問題だ」と懸念を示した。
対策として、新成人に5年有効の旅券を贈呈すれば「海外旅行が活性化するきっかけになる」と期待。配布時期の選択肢としては義務教育終了後も想定しており「その場合は海外への修学旅行を実施する高校が増える可能性もある」と語った。
訪日外国人旅行者数は好調だが、高橋氏は「海外の航空会社は、日本からの海外旅行客(アウトバウンド)もある程度なければ日本への新規路線を就航しない」と指摘。30年に訪日客を6千万人へ拡大する政府目標も「(日本発着の)国際線を拡大しないと難しくなる」とし、呼び込むには日本人出国者数を増やして「30年には最低限でも3千万人へ引き上げる必要がある」と強調した。
25年の日本人出国者数を「2千万人超だった19年と同じレベルに持っていかないといけない」との認識を示した。
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新成人に旅券無料配布を 日本旅行業協会、政府要請へ
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琉球新報朝刊