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大企業 女性社長13人 23年度1643社調査 0.8%、格差大きく 多様な経営判断 阻害も


大企業 女性社長13人 23年度1643社調査 0.8%、格差大きく 多様な経営判断 阻害も 東証プライム上場企業の女性役員の状況
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 東京証券取引所の最上位プライム市場に上場する企業1643社のうち女性社長は13人、全体の0・8%にとどまることが16日分かった。全対象企業の2023年度有価証券報告書を今年8月末時点で共同通信社が分析した。女性役員は3千人を超え19年度から倍増したが、社長のジェンダー格差は依然大きく、多様な視点からの経営判断が阻害されかねない現状が改めて浮き彫りとなった。
 23年4月~24年3月を決算期末とする報告書を23年度分として集計した。上場5年未満の29社を除く1614社を対象に動向を比較すると、女性社長は19年度から22年度まで7~9人で推移。23年度の報告書では、野村総合研究所の柳沢花芽氏や日本航空の鳥取三津子氏らが新たに加わった。政府はプライム上場各社に対し、30年までに女性役員比率を30%以上へと引き上げるよう求めている。女性役員の延べ人数は原則として取締役、監査役、執行役の合計で19年度の1502人から23年度に3052人へと倍増し、比率も16・2%に上昇した。既に30~40%を達成している欧米諸国に比べると見劣りするものの改善傾向が続いている。
 女性役員ゼロの企業は68社で、19年度の603社から大幅に減った。女性役員比率30%以上の企業は23年度に122社まで広がり、初めて女性ゼロ企業の数を上回った。
 多様性に富む企業は社内議論が活発で「意思決定の質が向上して成長を見込みやすい」(日本総合研究所の石井隆介マネジャー)とされる。機関投資家が投資先を選別する際、役員や管理職に占める女性比率を重視する傾向を強めていることもあり、企業側は女性の幹部登用を急いでいる。
 石井氏は女性役員の増え方に比べて社長が少ない背景として「社外から招く役員が多く、内部昇格が少ない」点を挙げる。女性活躍を進めるためには「内部で育てた女性社員を役員に登用すべきだ」と訴える。女性は家事や子育てを担うケースが多い。短時間勤務や非正規雇用を選択した結果、役員や管理職につながるキャリアを積みにくい問題点が指摘される。