国土交通省が17日公表した7月1日時点の都道府県地価(基準地価)は、住宅地と商業地、全用途の全国平均が3年連続で上昇した。いずれも上昇率は、バブル経済崩壊で大きく下落した1992年以降で最大。全用途は前年比0.4ポイント増の1.4%上がった。訪日客の増加や、円安による海外富裕層、投資家のマネー流入が影響した。地方圏のうち札幌、仙台、広島、福岡の主要4市を除く地域に限ると、全用途が32年ぶりに上昇した。
国交省は「バブル期のような短期的な売買ではなく実需を反映した緩やかな上昇が続いている」とみている。ただ地域別に細かく見ると明暗があり、特に今年1月にあった能登半島地震の被災地は大きく落ち込んだ。
全国平均の上昇率は、住宅地が0.2ポイント増の0.9%、商業地は0.9ポイント増と大きく伸び2.4%。リーマン・ショックや新型コロナウイルス禍による停滞を抜け、上昇基調が強まっている。
東京、大阪、名古屋の三大都市圏は住宅地が3年連続、商業地は12年連続で上昇し、上昇幅も拡大した。
地方圏の上昇率は住宅地0.1%、商業地0.9%、全用途0.4%。いずれも上昇は2年連続。主要4市を除く地域では、全用途が0.2%プラスとなり、地価上昇が波及しつつある。
都道府県別に見ると、住宅地がプラスだったのは17都道府県。これに対し、訪日客増加などの影響を受けやすい商業地は、半数超の28都道府県で上昇した。
住宅地で上昇率トップの地点は、移住者用住宅のニーズが高い沖縄県恩納村の29.0%だった。商業地は隣町に半導体工場が進出した熊本県大津町の33.3%。下落地点の上位は能登半島地震の被災地が占め、下落率の最大は住宅地14.8%、商業地17.1%だった。
最高価格は19年連続で東京都中央区の「明治屋銀座ビル」となり、1平方メートル当たり4210万円だった。
(共同通信)