訪日客が増加する中、東京、富士山、京都、大阪などの定番観光ルート以外の地方に誘致する動きが本格化してきた。繰り返し来日するリピーター層らに、雪景色や伝統の文化、工芸といった魅力をアピールする戦略が主流だ。海外と地方を直接結ぶ航空便の開設、増便も課題となる。
1日までインドネシアの首都ジャカルタで開かれた訪日旅行イベントでは日本の地方観光団体の出展が目立った。東北観光推進機構(仙台市)は山形県の蔵王や銀山温泉など雪が舞う冬の観光地PRに力を入れた。訪れた40代の女性会社員は「日本には今まで12回行った。東京は飽きたので来年は夫婦でもっと北を回りたい」と語る。
山陰インバウンド機構(鳥取県米子市)は2025年大阪・関西万博と連動して山陰の名所や文化の知名度向上を狙う。説明を聞いた20代の男性会社員は「3回目の日本への家族旅行では鳥取砂丘や大山にも足を延ばしたい」と興味深げな様子だった。
高所得国のシンガポールは訪日旅行のリピーターが多い。1回の旅行の滞在日数が長く、滞在時の1人当たり消費額の拡大も期待できる。このため、同国で8月中旬に開催された旅行イベントには、岐阜県や浜松市などの地方自治体のほか、北海道観光機構、JR九州といった日本各地の団体、企業も参加した。
岐阜県は北部の飛騨高山や白川郷が訪日客の人気観光地になっている。さらに「陶器や刃物、和紙といった匠(たくみ)の技を体験できる多治見市や関市など県南部に誘客する」(観光国際部)方針で、観光戦略を強化するとしている。
(NNA=共同)
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訪日客、地方誘致本格化 雪や伝統文化をアピール
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琉球新報朝刊