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米、大幅0.5%利下げ 4年半ぶり、緩和に転換


米、大幅0.5%利下げ 4年半ぶり、緩和に転換 米金融政策のポイント
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 【ワシントン共同=山崎翼】米国の中央銀行に当たる連邦準備制度理事会(FRB)は18日の連邦公開市場委員会(FOMC)で、主要政策金利を0・5%引き下げることを決めた。インフレが鈍化した一方、高金利政策による雇用情勢の悪化を警戒。通常の2倍の利下げで、金融緩和局面へ転換する。日銀は反対に利上げ姿勢を堅持しており、日米金利差の縮小が進めば、過度な円安ドル高を招いた要因が弱まることになる。
 利下げは、新型コロナウイルス禍への対応で事実上のゼロ金利政策を導入した2020年3月以来、4年半ぶり。短期金利の指標フェデラルファンド(FF)レートの誘導目標を4・75~5・0%とする。
 同時に公表した経済見通しでは、年内残り2回の会合でさらに0・5%の利下げを見込んだ。世界をけん引する米国経済が、物価高を抑えつつ景気後退を回避する「軟着陸」を実現できるかどうかが注目される。
 パウエルFRB議長は、コロナ禍からの回復過程で急上昇した物価が沈静化しつつあることに関し「(高金利政策を続けた)忍耐強いアプローチが実を結んだ」と自賛した。個人消費支出(PCE)物価指数の前年同月比上昇率は7月に2・5%となり、ピーク時の7・1%から大きく減速していた。
 大幅な利下げについては、雇用情勢の悪化などを念頭に「後れを取らないという決意の表れだ」と強調。追加緩和は「経済見通しの変化とリスクのバランスを慎重に検討する」とし「時間をかけて、より正常な金利水準に引き下げていく」と語った。ただ理事の一人が0・25%の引き下げを主張し、反対した。
 FRBは声明で「インフレ率は(目標とする)2%に持続的に向かっていると強い確信を得た」とした。経済見通しでは、24年10~12月期の実質国内総生産(GDP)は前年同期比2・0%増と見込み、6月時点の予測から下方修正した。
 24年10~12月期の物価見通しは2・3%上昇とした。

 米連邦公開市場委員会(FOMC) 米国の中央銀行に当たる連邦準備制度理事会(FRB)が当面の金融政策を決める会合。2日間の日程の定例会合を年8回開く。終了後には決定事項を記した声明を公表し、FRB議長が記者会見を行う。FRB議長を含む7人の理事と連邦準備銀行5行の総裁の計12人が政策決定の投票権を持つ。