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損保協、代理店出向制限 新指針策定、政策株全廃も


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 日本損害保険協会は19日、加盟各社の社員による保険代理店への出向を制限する指針を新たに策定したと発表した。契約獲得など営業目的での出向は禁止する。「政策保有株」として取引関係維持を理由に代理店などの株式を持つ慣習を全廃する指針も示した。
 企業向け保険のカルテルや代理店出向者による情報漏えいといった不正行為が大手4社で横行していたのを受けた措置。損保が社員の出向を通じ、代理店に自社商品を優先的に販売してもらおうとすることも、顧客の意向に沿った商品の提案を妨げているとして問題視されていた。
 東京都内で記者会見した城田宏明会長(東京海上日動火災保険社長)は「社会慣行との認識のずれがあった」と謝罪し、業界全体で抜本的に見直すと説明した。
 損保協会は出向の指針に「顧客企業との関係強化や、保険契約の維持獲得を目的とする出向は不可とする」と明記。代理店の人手不足を補うことのみを目的とする出向も禁じた。一方で人材育成や社会課題の解決に資するようなものまでは制限しないという。政策株に関しては上場か非上場かを問わず「早期になくすべく残高縮減に努める」とした。特に上場株は一定の期間内で手放すよう各社に具体的な売却方針の策定を求めた。
 保険代理店 保険会社に代わって顧客に保険商品を紹介し、契約を結ぶ権限を持つ業態。日本損害保険協会によると、損害保険の商品を取り扱う代理店は2023年度末時点で約15万店あり、損害保険の契約のうち約9割が代理店経由となっている。複数の保険会社の商品を扱う「乗合代理店」のほか、自動車や住宅の販売会社が兼ねることもある。