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年金保険料猶予、延長検討 低所得者対象 将来の受取額増へ


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 厚生労働省は20日、社会保障審議会の部会を開き、低所得者を対象に国民年金保険料の納付を猶予する制度の期限を、現行の2030年6月から延長する案を示した。延長は5年間や10年間とする方向で調整を進める。追納すれば将来受け取る年金額を増やすことができるため、低年金や無年金を防ぐのが狙いだ。
 猶予制度は、非正規雇用や無職の若者らが増加している状況を踏まえて創設。その後、対象は50歳未満まで拡大され、22年度時点で約58万人が利用している。同居する親ら世帯主の所得にかかわらず、本人と配偶者の所得状況から猶予するかどうか判断する。猶予を受けて10年以内であれば追納できる。
 ただ厚労省によると、利用者の1割弱が年収850万円以上の親ら世帯主と同居している。20日の部会では、世帯主に一定の所得がある場合は猶予制度の対象から除外する案も示されたが、反対意見が多く上がった。
 パートら短時間労働者の厚生年金の加入拡大に向け、一定以上の従業員数を定めた「企業規模要件」を撤廃する方針については、賛同する意見が相次いだ。厚労省の有識者懇談会が7月にまとめた報告書に撤廃方針を盛り込んでいた。