日銀は20日の金融政策決定会合で、政策金利である無担保コール翌日物金利の誘導目標を0・25%程度で維持することを決めた。植田和男総裁は会合後の記者会見で、利上げの判断を巡り「時間的な余裕がある」と述べた。追加利上げの時期が遅れるとの観測が市場に広がり、外国為替市場の円相場は対ドルで一時1ドル=143円台後半まで急落した。
植田氏は時間的な余裕ができた理由として、歴史的な円安が修正されたことを挙げ「物価上振れリスクは相応に減少している」と説明した。2%の物価安定目標に向け、消費者物価上昇率が日銀の想定通りなら「少しずつ利上げする」との方針は堅持した。ただ、年内に決めるかどうかは「米国経済を一段と注意して見て、総合で考えたい」と説明。物価目標が実現する確度が高まっても「すぐに利上げだということにはならない」とも強調した。
米国経済は景気後退を回避しながら物価高を抑える「ソフトランディング(軟着陸)」の可能性が高いとしたものの「リスクが少し高まっている」と指摘。米国以外の先行きも不透明として「金融市場は引き続き不安定」との認識を示した。
歴史的な円安ドル高を招いた日米の金融政策は転換点を迎えている。米連邦準備制度理事会(FRB)は米国時間18日に開いた連邦公開市場委員会(FOMC)で主要政策金利を0・5%引き下げ、4・75~5・0%にすると決定。利下げ路線のFRBに対し、日銀は正反対の方向に向かうため、金融市場は荒い値動きが続く可能性がある。
日銀は7月末の前回会合で0・15%程度の利上げを決めた。米国の景気後退懸念が追い打ちとなり、日経平均株価は8月上旬に過去最大の下落幅と上昇幅を記録した。
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政策金利0・25%維持 日銀 利上げ「時間的余裕ある」 円急落、一時143円台
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琉球新報朝刊