日銀が政策金利の維持を決めた。消費者物価上昇率は日銀が物価安定の目安とする2%を上回って推移しており、引き続き利上げの時期を探ることになる。日銀の情報発信が相場の急変動を招いた経緯があり、植田和男総裁は市場との丁寧な対話が課題になる。
植田氏は4月の金融政策決定会合後の記者会見で、外国為替市場の円安が基調的な物価に与える影響を無視できるかとの質問に「はい」と答えた。市場に円安容認と受け止められ、円が急落した。
7月会合では利上げを決めたが、事前の情報発信が少なく、市場にはサプライズと映った。植田氏が会見で利上げに積極的な姿勢を示したことも円高を助長し、8月上旬に日経平均株価が過去最大の下落幅を記録した一因となった。
黒田東彦前総裁の下で開始した大規模な金融緩和策で、金利のない世界が長く続いた。政策を円滑に正常化させるのは容易ではない。
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市場との対話に課題
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琉球新報朝刊