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ゆうちょ情報 不正流用 日本郵便、かんぽの営業に 全国で保険業法違反も


ゆうちょ情報 不正流用 日本郵便、かんぽの営業に 全国で保険業法違反も 日本郵便の顧客情報流用イメージ
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 日本郵便が、ゆうちょ銀行の顧客情報を顧客の同意を得ないままかんぽ生命保険の保険営業に不正に流用していたことが21日分かった。景品をプレゼントするイベントなどにゆうちょ銀の顧客を誘い、郵便局の窓口で保険の勧誘をしていた。保険業法違反の恐れがある。日本郵便とかんぽ生命は20日、総務省と金融庁に報告した。日本郵便は、流用が広がった原因や件数を調べている。
 日本郵便とかんぽ生命によると、不正流用は全国に広がっていた疑いがあるという。日本郵便は、ゆうちょ銀の顧客の貯金残高や年齢を基に、保険を勧誘する対象者をリスト化し、来局を促していた。保険業法では、保険商品の勧誘のために顧客情報を利用する際は、顧客の事前の同意が必要と定めている。
 日本郵便のマニュアルでは原則として顧客の同意を得るように定められていたが、守られていなかった。顧客が郵便局に来た後に同意を得れば問題ないと認識していたなどと説明している。
 日本郵便は、全国の郵便局にゆうちょ銀の顧客情報を使ったイベントの中止を指示した。再発防止策の検討も進める。
 3社はいずれも日本郵政グループで、日本郵便は、ゆうちょ銀とかんぽ生命から委託を受け、貯金の取り扱いや支払い、保険の募集などの窓口業務を担っている。

<用語> 日本郵便 郵政民営化で誕生した日本郵政の100%子会社。全国に約2万4千の郵便局を持ち、従業員は約17万人。郵便やゆうパックといった物流事業は、郵便物の引き受けの減少が止まらず業績が低迷。同じ日本郵政グループのゆうちょ銀行とかんぽ生命保険の金融商品を郵便局の窓口で取り扱う業務も手がけている。