南海トラフ地震臨時情報を契機に防災意識が高まる中、日々使いながら災害時にも役立つ「一石二鳥」の商品が続々と登場している。長期保存できる日常使いの食品や、災害時にペットのベッドにもなる猫や小型犬向けの移動用バッグも発売。各社は日頃からの備えを促す狙いだ。
イオンは水で戻せる「トップバリュ 国産素材の乾燥野菜」を10月発売する。ニンジンやタマネギといった野菜を手軽に摂取でき、多忙な共働き世帯などの需要を意識したが、常温で8カ月保存可能で非常食としても適しているという。
イオンによると、南海トラフ地震臨時情報の発表直後、「トップバリュ」ブランドの天然水2リットルケースの販売が前週に比べ約3・9倍と大幅に増え、カップ麺やレトルト食品も品薄になった。担当者は「毎日同じものだと飽きが来る」と乾燥野菜の利用も勧める。
農林水産省の2023年度の「食生活・ライフスタイル調査」によると「食料の備蓄は行っていない」と回答したのは全体の約4割に上り、若年層ほど傾向が強かった。味が劣ったり保管に場所を取ったりする印象があるためとみられる。
永谷園ホールディングスの担当者は「専用の備蓄食は購入のハードルが高いと感じる人も多いようだ」と話す。みそ汁の「フリーズドライあさげ」シリーズは1974年に発売当初1年だった賞味期限を、1年9カ月まで延ばした。販売期間を長く取る目的だったが「非常食としても利用してもらえるようになった」という。
コンビ(東京)はベッドにもなる猫や小型犬の移動用バッグ「フィカゴー ペットキャリー トリュフ」を発売。バッグ側面を開いて付属マットを敷くことでベッドになる。担当者は「災害時に一緒に避難できるようバッグに慣れさせておくのが大事」と強調した。
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「一石二鳥」商品が続々 各社「日常使い 災害時にも」
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琉球新報朝刊