国内菓子メーカーがチョコレート原料のカカオ確保に奔走している。主要産地アフリカ西部の天候不順で供給が減り、相場が高騰する「カカオショック」で、商品も値上げを迫られた。ライバル会社と共同で産地での生産性向上試験に取り組み、カカオ細胞の培養技術を持つ新興バイオ企業への出資にも乗り出した。カカオの代替素材にも関心が集まっている。
ロッテは業務用チョコ大手の不二製油などカカオ関連企業4社で、ガーナでの土壌改良試験を10月以降に実施する予定だ。カカオの実からチョコの原料を取り除いた部分を炭にし、畑にまくと生育を助ける効果が期待される。競合企業が協力した試験は珍しいという。
明治ホールディングスは米国のカカオ細胞培養技術を持つ新興企業に出資し、実用化を後押ししている。カカオ豆から取り出した細胞を増やし、少量の原料からチョコを生産できるとしている。
ロッテの担当者によると、カカオの国際価格は前年と比べ約4倍に高騰。世界的にチョコ消費が伸びており、価格が大幅に下落する見込みは今後もないとしている。
ロッテは「ガーナミルク」の希望小売価格を2022年から3回値上げし、今年8月に162円にした。明治は「明治ミルクチョコレート」を22年から今年10月までに4回値上げし、容量を減らす実質値上げも1回実施した。
業務用食品企業のあじかんは昨年、ゴボウを焙煎(ばいせん)したチョコ風味の素材「MelBurd(メルバード)」を発表したところ、菓子関係の会社から問い合わせが殺到した。担当者は「ゴボウの生産環境は安定している。将来に期待できる素材だ」と話した。
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チョコ原料確保に奔走 国内企業 カカオショックで高騰
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琉球新報朝刊