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空飛ぶクルマ商用化見送り 大阪万博 操縦士デモ飛行のみ


空飛ぶクルマ商用化見送り 大阪万博 操縦士デモ飛行のみ 丸紅が運航する「空飛 ぶクルマ」のイメージ (同社提供)
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 2025年大阪・関西万博で、次世代の移動手段として期待される「空飛ぶクルマ」の運航を計画する四つの事業者全てが、来場の一般客を乗せて飛ぶ商用運航を見送る見通しとなったことが25日、分かった。いずれも操縦士だけが乗り込み、会場周辺を周遊するデモ飛行となる。安全性を証明するための各国航空当局の許認可取得が難航しているのが理由だ。
 空飛ぶクルマの商用運航が実現すれば日本初で、万博の目玉になると見込まれていた。会期中の商用運航に繰り返し期待感を示してきた吉村洋文知事は25日、記者団に「お客さまを乗せて運ぶのが一番いいが、デモフライトでも空の移動革命に向けた大きな前進だ」と強調した。
 運航事業者はANAホールディングス(HD)と米ジョビー・アビエーションのグループ、日本航空、丸紅、スカイドライブ(愛知県豊田市)。丸紅とスカイドライブは既に商用運航の断念を表明しており、25日にはANAHDが見送ることが判明した。日航は「関係者と調整中であり、決まり次第お知らせする」としており、週内にも見送りを発表する見通しだ。日本国際博覧会協会(万博協会)や政府、大阪府、大阪市などは近く会議を開き、各事業者の準備状況を確認する。
 大阪府の23年12月のアンケートでは、万博への来場意向のきっかけとなる項目の首位が空飛ぶクルマで、パビリオンなどを上回っていた。府は空飛ぶクルマの万博での商用運航実現を契機に、ビジネスを後押しする政策を展開。24年度当初予算では、離着陸場を整備する費用の補助といった関連事業に計3億9千万円を計上した。