証券取引等監視委員会は25日、国債の先物取引で相場操縦をした疑いがあるとして、金融商品取引法違反で、証券大手の野村証券に2176万円の課徴金納付を命じるよう金融庁に勧告した。監視委は、実際に取引する意思がないのに注文を出すことで価格を不正に変動させ、同社で一連の取引で148万円の利益を得ていたとみている。
監視委によると、野村証券の担当部署のディーラーが2021年3月9日、業務中に自社資金で大阪取引所の長期国債の先物取引で注文と取り消しを繰り返したとしている。
この日の長期国債先物の注文では、最大時にはディーラーの注文が約7割を占めていた。注文の取り消し率は98%に上るという。監視委は、ほとんどの注文は見せ掛けの注文を出し第三者の取引を誘引する「見せ玉」と呼ばれる手法に当たるとみている。
ディーラーによる業務中の行為だったことや、会社の資金で売買していたことなどから、勧告の対象を個人ではなく野村証券とした。監視委は社内のチェック体制に問題がなかったかどうかなど背景を詳しく調べる。
野村証券は「このような事態が起きたことを厳粛に受け止める」とのコメントを発表。「お客さまをはじめ、皆さまに多大なるご迷惑をおかけしたことをおわび申し上げます」と謝罪した。勧告内容を踏まえ、法令順守と内部管理体制の強化を図るとした。
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野村証券、相場操縦疑い 監視委 2176万円課徴金勧告
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琉球新報朝刊