JA全農たまごは25日、鶏卵の卸売価格(東京地区、Mサイズ基準値)が同日時点で1キロ260円になったと発表した。7月平均の200円と比べ3割の上昇。猛暑で鶏が夏バテ状態となり、生産量や1個当たりの重量が減ったことで供給不足に陥った。同時にハンバーガーなど「月見商戦」激化で外食向けの需要増が重なり、価格高騰を招いた。今後、冬場に向けて鍋やおでんの需要も見込まれ、年内は高値傾向が続くとの見方がある。
JAが分析する卸値相場はスーパーなどの店頭価格に影響する。大阪、名古屋、福岡でも同様の傾向で、新米や他の食品も値上がりしている中、さらなる家計負担につながる可能性がある。
日本養鶏協会は24日に業界関係者を集めた需給見通しの検討会を開催。現在の高値は、外食チェーンのキャンペーン時期と重なったことも要因だと指摘していた。検討会座長を務めた彦坂誠協会副会長は「年明けに価格は下がり、その後需要が高まる春に再び上昇する」との見通しを述べた。
鶏卵の卸売価格は、昨年4~5月に東京で平均350円と最高値に上昇した。高病原性鳥インフルエンザの流行で約1771万羽が殺処分の対象となったことが響いた。昨年7月以降は供給量が回復し、今年1~7月は200円前後で推移していたが、猛暑で需給バランスが崩れた。
今後も鳥インフルが大きなリスク要因で、検討会では加工業者が新商品の開発を控えている現状も紹介された。キユーピーは取材に「商品開発の多角化で供給リスクの分散化を進めている」と話した。
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卵価格3割上昇 7月比、鶏夏バテで生産減 「月見商戦」激化で需要増
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琉球新報朝刊