【ワシントン共同】米政府は27日、中国から輸入する電気自動車(EV)への制裁関税を25%から4倍の100%に引き上げた。中国からの輸入台数は限定的だが、将来的な流入拡大を防ぎ、国内産業を保護する。米大統領選を前に、バイデン政権の中国への強硬姿勢をアピールする狙いもある。太陽電池や鉄鋼、アルミニウムなどへの関税も引き上げた。
相手国の不公正貿易に対する一方的な制裁を認めた米通商法301条に基づく措置。当初は8月1日に実施予定だったが、パブリックコメント(意見公募)で寄せられた声を精査するため延期していた。中国政府は「断固反対する」とし、対抗策の発動も示唆している。
バイデン米大統領は5月、中国政府が巨額の補助金によって自国産業の過剰生産を招いているとし、重点分野の制裁関税の強化を発表。EVに関しては「中国が自動車市場を不当に支配することを決して許さない」と述べていた。
欧州連合(EU)欧州委員会も中国EVが欧州メーカーの脅威になっているとして、現行の10%に最大36・3%の関税を上乗せする方針を提示し、中国と協議。カナダも10月1日から100%の追加関税を課すなど、EVを巡る対中包囲網は強化されている。
ただ2023年に米国が輸入したEVの総額188億ドル(約2兆7千億円)のうち、中国からの輸入額は2%に過ぎない。このため対中強硬姿勢を示す政治的な意味合いが強いとの見方もある。
米国は9月27日に、中国から輸入する太陽電池への制裁関税を25%から50%に引き上げ、EV向けリチウムイオン電池は7・5%を25%とした。鉄鋼、アルミニウムは0~7・5%から25%に上げた。
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米、対中EV関税100%に 4倍に、国内産業保護
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琉球新報朝刊