暮らしに直結する価格改定や制度変更が10月に実施される。郵便料金は約3割、住宅向けの火災保険料は約1割引き上げられ、食品・飲料の値上げも相次ぐ。一方、児童手当は所得制限の撤廃などで拡充され、最低賃金の引き上げも始まるので、家計に吹き付ける冷たい秋風が少しは和らぐかもしれない。
郵便料金改定は消費税増税時を除き1994年以来30年ぶり。はがきは63円から85円になり、25グラムまで84円、50グラムまで94円と分かれていた手紙(定形郵便物)は110円に一本化される。値上げは日本郵便が実施し、郵便物の減少や人件費の高騰で赤字に陥った郵便事業の収益改善を狙う。
水災や風災を含む損害を幅広く補償する火災保険。料金の値上げは、災害多発で契約者に支払う保険金が増え、損害保険会社の重荷になっていることが背景にある。水害に対応する部分の保険料は全国一律だったが、10月からはリスクを市区町村別に5段階で評価し、多発の恐れがある地域ほど保険料が高くなる。
帝国データバンクによると、10月に値上げが予定されている食品・飲料は、8月30日時点の集計で2631品目。9月の2倍に迫り、帝国データは「半年ぶりの値上げラッシュ」とみる。政府が酷暑対策として8~10月使用分に限って再開した電気代と都市ガス代を抑える補助金は縮小する。
医療でも事実上の値上げがある。安価な後発医薬品(ジェネリック医薬品)があるのに、特許が切れている先発医薬品を使う場合、後発品との差額の25%が新たに患者の窓口負担となる。保湿用塗り薬「ヒルドイド」や胃腸薬「ガスター」など1095品目が対象。ただ医師が必要と判断すれば負担額は変わらない。
児童手当は所得制限がなくなるだけでなく、支給対象が中学生までから高校生年代までに広がる。支給額は3歳未満が月1万5千円、3歳から高校生年代は月1万円。いずれも第3子以降は月3万円に増える。これまで年3回だった支給回数は6回になる。拡充後初の支給は12月で、10月分と11月分が支給される。
最低賃金は全国平均の時給が51円増の1055円になる。全ての働く人が対象で10月以降、各都道府県で順次適用される。厚生年金に加入するパートやアルバイトら短時間労働者も増える。「企業規模要件」が緩和され、勤務先の従業員数が51~100人でも加入できるようになるためだ。約20万人が対象と見込まれる。これまでは「101人以上」が要件だった。
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郵便、火災保険値上げ 来月 児童手当の所得制限撤廃
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琉球新報朝刊