有料

インボイス 事務負担重く 制度導入1年 消費税収2000億円増


インボイス 事務負担重く 制度導入1年 消費税収2000億円増 インボイス導入を機に事務負担が増えたか
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 1日で消費税率の10%への引き上げからも5年がたった。インボイスは消費税が10%と8%の複数税率に対応した請求書類で、納税額を正確に計算するため導入された。特に納税を免除されていた零細事業者やフリーランスは、新たに消費税の負担が生じるため、影響が大きかった。財務省は制度導入による年間の増収が約2千億円に上ると試算する。
 日商が会員企業に行った調査によると、制度導入を機に零細事業者を含む82・2%が「事務負担が増加した」と答えた。具体的な内容は「仕入れ先の登録状況の確認・管理」が66・0%と最も多かった。また「コストが増加した」と答えたのは48・8%だった。
 個人タクシー事業者が加盟する日個連東京都営業協同組合では、運転手の98%がインボイスに登録した。組合によると、領収書の電子保存などで運転手らの事務負担が増えたという。冨本哲哉理事長は「消費税は払うべきものだが、利益の薄い事業者への負担は重い」と話す。納税額を軽減し、税額計算も簡単な特例措置の継続を訴えている。
 インボイス 消費税が10%と8%の複数税率になっていることに対応した請求書類。下請けの業務や商品納入などを受注した事業者が、発注元の事業者に対して発行する。税率ごとに区分した消費税額などを記載する。英語のつづりは「invoice」で、日本語では「適格請求書」と呼ぶ。売上高1千万円以下で消費税を納めていない「免税事業者」が発行するには「課税事業者」に転換する必要があり、納税義務が発生する。登録は任意だが登録しない場合、取引企業が商品の仕入れ分の消費税額を差し引いて納税できず損失を受ける。

 消費税のインボイス(適格請求書)制度導入から10月1日で1年を迎える。新たに制度に登録した零細事業者やフリーランスに納税義務を課すことで、消費税収は年間約2千億円増えると見込まれる。一方、日本商工会議所の調査では、登録事業者の8割が事務負担が増えたとしており、事業者からは税負担の軽減など時限措置の継続を求める声が上がっている。