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公取委、生成AI実態調査 新規参入妨害把握へ 独禁法上リスク事前提示


公取委、生成AI実態調査 新規参入妨害把握へ 独禁法上リスク事前提示 公正取引委員会が提示した生成AIを巡る競争上の主なリスク
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 公正取引委員会は2日、急成長する生成人工知能(AI)の関連市場の実態調査に乗り出したと発表した。生成AIは基盤となる言語モデルがオープンAIやグーグル、半導体はエヌビディアといったように一部の米大手企業が大きく先行する。公取委は新規参入が妨げられる恐れがないかどうかを把握し、健全な競争を促す。技術向上が著しく変化が激しい市場の特性を踏まえ、独禁法上のリスクを事前提示する手法を初めて導入した。
 公取委は11月22日まで事業者と利用者から意見を求め、聞き取りと合わせて分析する。調査結果を報告書に随時まとめて、必要に応じて規制当局としての見解を示す。来春にも第1弾の発表を予定している。
 生成AIの開発には、高速のデータ処理に適した半導体や事前学習に必要な膨大なデータが不可欠だ。公取委はこうした資源の確保が妨げられれば、新規参入の機会が失われる恐れがあると指摘。生成AI向け半導体はエヌビディアが世界シェアの約8割を占め、データも一部企業に集中していると懸念する。
 公取委はその他、資金力に勝るIT大手が専門人材を囲い込むことや、生成AIの推論により自社の商品やサービスを優遇するといった五つのリスクを挙げた。
 生成AIを巡っては海外当局も実態把握を急いでいる。米国は1月、IT大手に企業間提携の情報提供を求めたほか、欧州連合(EU)や韓国も調査を始めた。
 公取委の藤本哲也事務総長は10月2日の記者会見で「生成AIは経済社会にさまざまな便益をもたらす。健全に実装する観点も踏まえて調べる」と述べた。