3日の東京外国為替市場の円相場は対ドルで急落し、一時1ドル=147円25銭を付けた。前日から3円以上下落し、約1カ月半ぶりの円安ドル高水準。日銀の追加利上げに肯定的とみられていた石破茂首相が2日、慎重な発言をしたことで、利上げ観測が遠のき、日米の金利差が当面開いたままになるとの見方から円売りドル買いが進んだ。株式市場では円安を追い風に輸出関連株が買われ、日経平均株価(225種)の上げ幅が一時1000円を超え、金融市場は荒い値動きとなった。
午後5時現在の円相場は前日比2円40銭円安ドル高の1ドル=146円45~46銭。ユーロは2円16銭円安ユーロ高の1ユーロ=161円58~62銭。
自民党総裁選に当たり実施した共同通信のアンケートで石破氏は、金融政策正常化に向けた追加利上げの判断に関し「日銀の独立性を尊重」としつつ「経済や国民生活に支障が生じない範囲、ペースで正常化されることを期待する」と回答していた。
だが2日、日銀の植田和男総裁との会談後、記者団の取材に「個人的には、追加の利上げをするような環境にあるとは考えていない」と発言。姿勢が一転し「円安に火を付けた」(外為ブローカー)。
一方で石破氏の自民党総裁就任後、新政権の経済政策への警戒が強まり、急速な円高などで株価が急落した経緯から、金融市場に安心感を与えるための発言との見方もある。
ただ中堅証券関係者は「過度な介入は日銀の独立性を損ない、市場の混乱を招きかねない」と指摘した。
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円、一時3円以上急落 首相の利上げ慎重発言で 147円25銭、荒い値動き
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琉球新報朝刊