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日銀追加利上げに政治圧力 独立性損なう恐れ 首相、肯定観測から一転くぎ


日銀追加利上げに政治圧力 独立性損なう恐れ 首相、肯定観測から一転くぎ 日銀の利上げを巡る政治家の発言
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 日銀の金融政策に政治の圧力が強まっている。これまで金融正常化に肯定的だとみられていた石破茂首相が「追加利上げをする環境ではない」と一転、日銀の利上げ方針にくぎを刺した。衆院選を前に株式市場を冷やしたくない思惑が透けて見え、新政権の閣僚らも同調。政治優先の発言は日銀の独立性を損なう恐れがあり、追加利上げの判断に影響しかねない。
 「個人的には、追加の利上げをするような環境にあるとは考えていない」。石破氏は2日夜の植田和男日銀総裁との会談後、記者団にこう話した。3日の外国為替市場の円相場は年内の追加利上げ観測が後退し、前日から一時3円以上下落。日経平均株価の上げ幅は一時1000円を超えた。
 これに先立つ自民党総裁選中に実施した共同通信社のアンケートで、石破氏は日銀の追加利上げの是非について「経済、国民生活に支障が生じない範囲、ペースで正常化されることを期待する」と回答していた。
 だが石破氏が9月27日に総裁選で勝利すると、日銀の利上げが進むとの見方から円が買われ、週明け30日の株価は一時2000円超下落。市場関係者からは、変節は「株価の急落を受けたものだ」との声が上がる。
 閣僚も追加利上げの向かい風となりそうだ。赤沢亮正経済再生担当相は3日、デフレ脱却が最優先だとして「タイミングを間違えて水を差すことはできない」と主張。加藤勝信財務相は総裁選中のアンケートで「景気を冷やし、回復の勢いをそぐ恐れがある」とした。
 日銀は日銀法によって金融政策の独立性が確保されており、野村総合研究所の木内登英エグゼクティブ・エコノミストは「首相らの発言は踏み込み過ぎている」と指摘。ただ、政治家の発言を無視することもできず「追加利上げのハードルは上がったと言えるのではないか」と話した。