会員制の講演会組織「琉球フォーラム」(主宰・普久原均琉球新報社長)の10月例会が9日、那覇市のロワジールホテル那覇で開かれた。慶応義塾大学商学部の岩尾俊兵准教授が「カネの論理とヒトの論理~資本主義社会の再構築」と題して講演した。
岩尾氏はライバルとのシェア争い、経営者と従業員の報酬配分、顧客との取引などで利益を巡って対立が生じるのは「有限な価値」を他者から奪い合う構図が要因だと説明した。「乗り越えるには経営者、従業員、顧客、株主、政府などが『無限の価値を創造する仲間』という考え方に立つ『価値無限の発想』が真の解決策となる」と指摘した。
「奪い合いの中では奪い返すことも大事」と目の前の競争への対応を認めつつも、「バリュークリエーション」(新たな価値の創造)を通じて「皆で豊かになる」社会が幸福につながると強調した。
その前提として社会における「経営者意識」の浸透が重要だと説明。イスラエルではどんな職業に就くにしても「経営」を意識する教育がなされているが、日本では「経営は社長がやるもので、自分は関係ないと多くの人が思っている」とし、「薄く、広く、皆が『自分は人生の経営者である』という当事者意識が広がれば、新たな事業を立ち上げ、世界に通用する会社を作る人が生まれる」と強調した。
(島袋良太)