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セブン、コンビニ事業専念 社名変更、買収提案に対抗 スーパー、外食は分離


セブン、コンビニ事業専念 社名変更、買収提案に対抗 スーパー、外食は分離 セブンの新体制
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 国内小売り最大手セブン&アイ・ホールディングス(HD)は10日、社名を2025年にも「セブン―イレブン・コーポレーション(仮)」に変更すると発表した。稼ぎ頭のコンビニ事業に専念する体制に再編し、傘下のスーパーや外食事業は中間持ち株会社を設立して分離する。カナダのコンビニ大手アリマンタシォン・クシュタールから買収提案を受けていることを踏まえ、企業価値を早期に高めて対抗したい考えだ。
 新社名は25年5月に開催予定の株主総会で正式に決定する。井阪隆一社長はオンラインで開いた記者会見で「コンビニ事業にフォーカスすることを明確化する」と社名変更の狙いを述べた。
 買収提案については「企業価値を上げる提案であれば真摯(しんし)に対応する。内容は特別委員会で議論する」と語った。一方で「業績と企業価値の向上にまい進する」と強調し、提案に消極的な姿勢をにじませた。
 中間持ち株会社は「ヨーク・ホールディングス」。スーパーのイトーヨーカ堂とヨークベニマルの他、ベビー用品を手がける赤ちゃん本舗の運営企業など31社を束ねる。26年2月までに株式を一部売却し、持ち分法適用会社化を目指す。
 井阪氏はスーパー事業の分離については「成長戦略を明確化するためだ」と述べ、製品開発などでコンビニ事業との連携を継続すると強調した。セブン銀行などの金融事業は「最適な資本関係の在り方を検討していく」と見直しも示唆した。
 セブン&アイはクシュタールから総額7兆円規模の買収提案を受け、阻止のため株価向上策の提示を迫られていた。
 セブン&アイが10日発表した24年8月中間連結決算は、売上高に当たる営業収益が前年同期比8・8%増の6兆355億円、純利益が34・9%減の522億円の増収減益だった。海外コンビニ事業の不振が響いた。
 セブン&アイ・ホールディングス イトーヨーカ堂とセブン―イレブン・ジャパン、デニーズジャパンの持ち株会社として2005年に発足した。国内の小売業で首位。日米のコンビニ事業を中核にスーパーや外食、銀行も展開している。24年2月期連結決算は売上高に当たる営業収益が11兆4717億円、純利益は2246億円だった。24年2月末時点の連結従業員数は15万7177人。