政府は11日、石破茂首相を本部長とする「新しい地方経済・生活環境創生本部」を設置した。人口減少対策や東京一極集中の是正に向けた地方創生を加速させる。年末までに基本的な考え方を取りまとめる方針。全閣僚がメンバーで、各閣僚は交通空白の解消や中小企業の賃上げ環境の整備などに取り組むと表明した。地方が疲弊する中、効果的な対策を展開できるかどうかが焦点だ。
副本部長は林芳正官房長官と伊東良孝地方創生担当相が務める。伊東氏は記者会見で「ばらまきではなく(地方が)アイデアを出し合い、汗を流し合って作り上げた事業を後押しする」と述べた。初会合の時期は未定としている。基本的な考え方には、過去10年間の地方創生の成果や反省を踏まえつつ、長期的な理念などを盛り込む。
新本部は、岸田政権が立ち上げた「デジタル田園都市国家構想実現会議」を発展させ、全閣僚が参加。斉藤鉄夫国土交通相は記者会見で「住民や観光客の移動手段が乏しい『交通空白』の解消に取り組む」と強調。赤沢亮正経済再生担当相は、国内投資を促進し地方創生につなげたいとした。福岡資麿厚生労働相は「医療・介護分野でのデジタル化などを一層推進したい」と述べた。
石破首相は地方創生を「経済成長の起爆剤」と位置付け、自治体向けの交付金を当初予算ベースの1千億円から倍増させる方針。9日の記者会見では「新たな地方創生はまちおこしの延長ではない」と述べ、地方への人やモノの流れを拡大させる考えも強調した。
地方創生 人口減少克服と東京一極集中の是正を目的に、政府が2014年に打ち出した政策。初代担当相に石破茂首相が就き、同年12月に「まち・ひと・しごと創生総合戦略」を策定。産業振興や地方への移住促進、政府機関・企業の移転、地方大学の活性化などを進めてきた。自治体には地方版の総合戦略を作るよう要請し、戦略に沿った施策を交付金で支援している。