農林水産省は11日、2024年産のコメ(水稲)の全国の作況指数(平年=100)が9月25日時点の調査で「やや良」の102になるとの見通しを発表した。主食用米の収穫量は前年産に比べて22万3千トン増の683万3千トンで6年ぶりの増加を見込んだ。一部地域で低温や日照不足などの影響があったが、多くの地域で天候に恵まれた。「やや良」が確定すれば103だった16年産以来、8年ぶり。
23年産米は猛暑による高温障害で等級が下がり歩留まり(良品率)が悪く、新米が出回る前の端境期に店頭で品薄の要因となった。農水省によると24年産米は主産地を中心に等級が改善する見込みといい、品薄感は緩和に向かいそうだ。
主食用米の作付面積は前年産と比べて1万7千ヘクタール増の125万9千ヘクタールを見込んだ。北日本と東日本を中心に飼料用米からの転換などがあった。
都道府県別の作況は、岩手が106、宮城が107の「良」で、19道府県が「やや良」だった。新潟や山形など7県が「やや不良」で5~7月にかけての低温や日照不足などの影響を受けた。富山や兵庫など19都県は「平年並み」だった。
需給の影響のほか、資材や燃料などの生産コストも上昇し、各地のJAなどの集荷団体が農家に支払う概算金も高くなっている。このため新米価格は店頭で5キロが3千円を超える例も見られるなど、値上がりしている。
日本総合研究所の三輪泰史氏は、コメの供給は安定するとした上で、24年産米の価格は「生産コストの上昇を踏まえ、前年産よりも1~2割程度高い水準になるのではないか」と指摘した。
作況指数 コメ(水稲)の収穫量が多いか少ないかを示す指標。農林水産省が全国と都道府県別で公表しており、10アール当たりの予想収穫量を平年と比較した数値で表す。平年を100とし、94以下を「不良」、95~98を「やや不良」、99~101を「平年並み」、102~105を「やや良」、106以上を「良」の5段階に分類。2023年産の全国は101だった。
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24年産米、作況「やや良」 予想収穫量、6年ぶり増
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琉球新報朝刊