国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産への登録を目指して日本政府が申請した日本酒や焼酎などの「伝統的酒造り」について、ユネスコ評価機関が11月初旬にも登録の可否を勧告する。登録勧告が出れば、12月2~7日にパラグアイの首都アスンシオンで開かれるユネスコ政府間委員会で登録を正式決定する見通し。
伝統的酒造りは、こうじで原材料を発酵させる手作業の技術。杜氏(とうじ)や蔵人らが築き上げ、各地の気候風土に応じて日本酒や本格焼酎、泡盛、本みりんなどの製造に受け継がれてきた。カビの一種であるこうじを使った世界的にも珍しい製法で、日本の食文化や祭礼行事に深く根ざしている。
2021年、技術の継承や発展を目指して各地の酒造技術者らが「日本の伝統的なこうじ菌を使った酒造り技術の保存会」を設立し、国が同会を保持団体として伝統的酒造りを登録無形文化財に選定。文化審議会の答申を受け、政府が22年3月、ユネスコに登録を申請した。
国内の無形文化遺産は「和食」や「山・鉾・屋台行事」など22件あり、伝統的酒造りが認められれば23件目となる。直近では22年に豊作祈願や厄払いの踊り「風流踊(ふりゅうおどり)」が登録された。政府は「書道」も申請中だが、日本は登録件数が多く2年に1回の審査となるため、登録は最短で26年となる見通しだ。
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酒造り、登録可否を勧告へ 来月にも、ユネスコ無形遺産
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琉球新報朝刊