石破茂首相は15日、福島県いわき市での街頭演説で、衆院選後に編成する2024年度補正予算の一般会計の歳出について、23年度補正予算の13兆1992億円を上回る規模にする考えを表明した。低所得世帯への給付金や自治体向け交付金などを盛り込む新たな経済対策の財源の裏付けとなる。民間の支出を含む経済対策の事業規模は23年度の37兆4千億円程度を上回るようにするとの考えも示した。
石破首相は「きちんとした積み上げの下に、昨年の補正予算を上回る大きな予算を成立させたい」と述べた。政府、与党は衆院選後の早期に経済対策を取りまとめ、補正予算案を国会に提出する構えだが、首相があえて公示日に歳出規模を打ち出したのは選挙戦で有権者にアピールする狙いがあるとみられる。
経済対策は「物価高の克服」や「日本経済・地方経済の成長」、「国民の安心・安全の確保」を柱とする方針。長引く物価高の影響を特に受ける低所得世帯に給付金を配るほか、自治体が地域の実情に応じて活用できる重点支援地方交付金を拡充する。
電気・ガス代やガソリン料金を抑える支援策も盛り込む方向だ。首相は農山漁村の振興や半導体産業の雇用の創出も挙げ「新たな日本の経済をつくる補正予算を編成し、25年度予算につなげていく」と強調した。
ただ政府は経済財政運営の指針「骨太方針」で、新型コロナウイルス禍以降に膨らんだ歳出を「平時に戻す」と明記しており、巨額の支出は整合性を問われる可能性がある。
コロナ禍前は毎年度数兆円程度だった補正予算の規模は、コロナの感染拡大を受けて大幅に増加。23年度は骨太方針に沿って規模を縮小し、22年度と比べてほぼ半減の水準に抑制した。
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24年度補正 13兆円超に 首相表明 経済対策は37兆円超
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琉球新報朝刊