経団連は16日、東京証券取引所の最上位プライム市場に上場する全1637社の女性役員比率が前年比2・8ポイント増の16・1%だったと発表した。2030年までに30%以上にする政府目標の達成へ順調に推移するものの、社内からの登用数が伸びておらず、女性の経営層拡大に向けては生え抜き役員の育成が課題となる。
社内で昇進して就いた取締役に絞ると、上場企業全体で男女8千人強を数える中、女性は300人弱で比率は3・4%にとどまった。一方で、弁護士や公認会計士など社外から招いた取締役では、女性比率が33・1%。女性の数は多くなったが、その分布には偏りが生じた。
調査対象の役員には取締役や監査役、執行役を含む。女性役員がいない企業は前年の200社から大幅に減って、69社となった。半面、女性役員比率30%以上の目標を達成した企業は138社に上った。
経団連の担当者は「社内出身の女性が少ない。女性役員を育てるためにメンター制度を活用するなど、人材育成を強化する必要がある」と強調した。
政府は30年の目標達成に向け、中間目標を設定。プライム上場企業で女性役員比率は25年に19%とし、同年には女性役員のいない企業をゼロにしたい方針だ。機関投資家は投資先を選ぶ際、役員や管理職に占める女性比率の高さを重視する傾向を強めており、各企業が対応を進めている。
今回の調査は経団連が日本総合研究所に委託し、7月1日現在でプライム市場に上場する全企業を対象にした。プライム上場の経団連会員企業716社の動向も調べたところ、女性役員比率は2・7ポイント増の16・8%となった。
<用語> プライム市場 東京証券取引所の最上位に位置する市場。海外投資家にとって魅力的な取引対象となるグローバル企業を中心に構成する。社外役員の選任や女性、外国人の取締役登用など経営の監督機能を高めることが求められている。日経平均株価は、トヨタ自動車など同市場に上場している主要な225銘柄の値動きを基にしている。2022年の再編までは東証1部が主要市場としての役割を果たしていた。