土木建設業界で輝く女性の声を伝える無料冊子「けんせつ姫」を、千葉県船橋市で建設会社を営む柴田久恵さん(52)が発行している。「男社会の業界イメージを変え、仲間を応援したい。性別問わず働きやすい環境づくりにつなげ、女性の担い手が増えたらいい」と語る。
冊子は2018年に創刊。幅広い年代の女性に、仕事のやりがいや苦労、将来の夢、家庭との両立などをテーマに語ってもらっている。愛知県や福岡県の職人らを取り上げた昨年12月発行の第4号は、27ページで1万5千部。全国の工業高校や大学などに配った。製作費は自社負担だ。
建設業だった父の手伝いを機に、20歳で下水道工事の仕事に携わった。「汚く臭い現場でも、新人もベテランも関係なくチームとして造り上げていくことが楽しく、性に合っていた」。自ら仕事を取りに行きたいとの思いが早々に高まり、21歳で「土佐工業」を設立した。
夜遅くまで現場で働いた後、事務処理や資格取得の勉強に励んだ。「生意気だ」と陰口をたたかれていることを知り、悔しい思いをしたこともあった。
社長業と両立しながら結婚して産んだ3人の子を育てる中で、ふと、インフラを支える業界の人手不足に危機感を募らせた。「子どもたちが成長した時の日本のために。次の世代への橋渡しになる取り組みをしたい」と、冊子の編集を始めた。
「現場では、女性ならではの提案力や気配りが大きな強みになる。男女の能力を合わせたら、良いものができる」。若い女性たちの進路選びや、業界全体の発展に、記事が役立ってくれることを願っている。
有料
建設業女性の声 冊子で 千葉の柴田さん発行 男社会の「イメージ変える」
この記事を書いた人
琉球新報朝刊