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主要政党政策「最賃1500円」 経営側「打撃」と困惑


主要政党政策「最賃1500円」 経営側「打撃」と困惑 最低賃金引き上げへの見方
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 衆院選で主要政党が最低賃金の引き上げをアピールしている。全国平均の時給を1500円にすると主張するものの、企業側は経営の打撃になりかねないと困惑。物価高を背景に働く人の処遇改善は急務だが、専門家は「経営側の理解や納得感が必要」と強調する。
 「会社が倒れてしまうレベルだ」。愛知県でポスティング会社を経営する男性(41)は最賃1500円についてこう話す。時給1100円程度でアルバイトを雇っているが「急に上げるのは到底無理」。サービスを値上げすれば顧客離れの恐れがあり「零細企業は倒産する」。
 2024年度の最低賃金は全国平均で時給1055円。物価高や人手不足を反映し1004円だった前年度から大幅に増えたが、石破茂首相は所信表明演説で20年代に1500円とする目標を示し、30年代半ばまでとした岸田前政権の目標を前倒しした。立憲民主党や公明党、共産党も公約に1500円を明記した。
 20年代に1500円まで引き上げる場合、ここ数年3~5%程度で推移してきた伸び率をさらに加速させる必要がある。関東地方の自動車部品メーカー幹部は「大変厳しい」とこぼす。原資を確保するには部品の値上げが必要だが「自動車大手はどこまで応じるか分からない」と話した。