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認知症予防へ新会社 ビーンズラボと琉大研究者ら オンライン診療、AI活用


認知症予防へ新会社 ビーンズラボと琉大研究者ら オンライン診療、AI活用 RyuWell(リュウェル)の泉晃代表とオンライン相談ツール「窓」=9月、那覇市内
この記事を書いた人 Avatar photo 當山 幸都

 IT事業を手掛けるライトカフェ(東京都)とグループ会社のビーンズラボ(那覇市)はこのほど、琉球大医学部の教授らと協力してヘルスケアの課題を解決するスタートアップ(新興企業)「RyuWell(リュウェル)」を設立した。オンライン診療やAI(人工知能)を活用し、高齢化に伴い患者数の増加が予測される認知症の早期予防・発見を図る。沖縄で医療とITを掛け合わせたヘルステック産業の振興につなげる。

 設立は8月30日付。琉大医学部先端医学研究センターの泉晃特命准教授が代表に就任した。かつて全国一を誇った沖縄の平均寿命は男女とも順位が低下している。離島県で医療アクセスが制限され、遠隔診療や医療DX(デジタルトランスフォーメーション)のニーズも高いとして、沖縄を拠点に課題解決の手法開発を進め、全国展開を目指す。

 具体的には、早期発見が難しい認知症関連のスマート遠隔医療システムや評価プログラムの開発を進める。スタートアップのMUSVI(東京)の製品で、大型ディスプレーを使ったオンライン相談ツール「窓」を導入する。映像や音声、患者のウエアラブル端末の生体情報をAIがまとめて医師に提示し、正確な診療を実現する。

 開発したシステムを病院・クリニックや自治体のほか、金融機関にも提供し、認知症による資産凍結の防止策にも生かしてもらいたい考え。読谷村とは同村の高齢者向けの「ゆいまーる共生事業」と連携し、導入実証を11月にも始める。

 泉氏は「沖縄には日本の近未来の課題が凝縮されている。それを解決して新たな産業振興に寄与し、上場できる会社にまで育てて人材定着やキャリア形成につなげたい」と展望した。

 (當山幸都)