新卒社員が業務や環境が希望通りにならない「配属ガチャ」を理由に早期離職するのを防ぐ取り組みが大手企業で広がっている。損害保険ジャパンは2025年4月に新卒で入社予定の約300人を対象に、内定後に希望を募り、配属先を確約する制度を導入した。パナソニックホールディングスやキリンホールディングスは職種別に採用活動を展開している。
リクルート就職みらい研究所が25年に卒業を予定する学生に尋ねたところ、「就職先を決める前に配属先が確約されている方がよい」との回答は約85%に上った。自身のキャリア形成への関心が高く、将来の不確実さを不安視する傾向も強いという。就職活動は学生優位の売り手市場が定着しており、内定辞退を抑制するためにも企業側は対策を迫られている。
損保ジャパンの新制度は職種別の採用と比べ、学生側にとって「内定後に改めて自分のキャリアを考えられることが大きな利点だ」としている。営業や内勤といった30程度の職種に希望を出せるようにしており、書類や面接による選考を11月に始める。
損保ジャパン人事部の米山敬子さんは「学生の時から専門性を磨いている方も多く、経験や強みを生かしてもらいたい」と話す。
10月1日の内定式で制度の説明を受けた早稲田大4年の足立玲央さんは「自分が望むキャリアを実現できるチャンス」と応募に前向きな姿勢を示した。
パナソニックは25年4月入社の学生に対し、持ち株会社や傘下の計9社が約150の職種を提示して採用活動を進めた。キリンは技術系や事務系といった10のコースに細分化して募集した。
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希望先確約、職種別採用 「配属ガチャ」離職防止へ 大手企業が取り組み
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琉球新報朝刊