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日本の24年成長率0.3% IMF見通し コロナ禍以来の低水準


日本の24年成長率0.3% IMF見通し コロナ禍以来の低水準 IMFの経済成長率見通し
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 【ワシントン共同=山崎翼】国際通貨基金(IMF)は22日公表した世界経済見通しで、2024年の日本の実質成長率を7月時点の見通しから0・4ポイント下方修正し、0・3%と予想した。認証不正による自動車の生産停止が響き、新型コロナウイルス禍でマイナス成長となった20年以来の低水準となる。
 衆院選では経済成長に向けた政策が焦点となっており、有権者の投票動向にも影響を与えそうだ。
 世界全体の24年の成長率は3・2%で据え置き、25年は0・1ポイント下方修正の3・2%とした。
 日本の成長鈍化については、23年の成長を押し上げた観光需要の後退も挙げた。
 25年は「(物価変動を加味した)実質賃金の上昇による消費の伸びが成長を押し上げる」と説明。0・1ポイント上方修正の1・1%とし、回復を見込んだ。
 ただ今年6月に26カ月連続マイナスから脱した日本の実質賃金は、プラス圏で安定する状態にはなっていない。中東での紛争拡大など、今後のリスクも強まっている。
 IMFチーフエコノミストのピエール・オリビエ・グランシャ氏は紛争や各国の保護主義的な政策の強化などにより、世界経済は「不確実性が高まっている」と指摘。米連邦準備制度理事会(FRB)や欧州中央銀行(ECB)の利下げへの転換を評価するとともに、次の危機に備えた財政余地を確保する財政再建や、成長に向けた構造改革の必要性を訴えた。
 米国は好調な消費や投資を受け、24年を0・2ポイント上方修正の2・8%とした。25年は労働市場の冷え込みにより2・2%に鈍化すると見通した。
 中国は24年が4・8%、25年は4・5%とした一方で、中国政府の最近の景気刺激策により「成長が上振れする可能性がある」と説明した。ユーロ圏経済は輸出や国内需要に支えられ、24年に0・8%、25年に1・2%で推移すると予想した。