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物価2%安定「なお時間」 日銀総裁、慎重に利上げ


物価2%安定「なお時間」 日銀総裁、慎重に利上げ 国際通貨基金のイベントで講演する日銀の植田総裁=23日、ワシントン
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 【ワシントン共同】日銀の植田和男総裁は23日、国際通貨基金(IMF)のイベントで、2%の物価安定目標を持続的に達成するには「なお時間がかかる」と語った。「適切な金融政策の正常化の規模や、(利上げペースを)どう配分していくかを考えている」とも述べ、慎重に利上げを続ける姿勢を示した。
 植田氏は20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議に出席するためワシントンを訪れ、公開の対談に参加。日本では長期にわたる低金利政策で「インフレ期待が非常にゆっくりと変化している」ことや、日銀は追加利上げを決めたものの「依然緩和的な金融政策の姿勢を維持している」ことを説明した。
 世界経済は中東情勢の悪化など下振れリスクが大きくなっている。植田氏は、不確実性が大きい場合は「(利上げは)通常、慎重に進めたい」と述べた。ただ「あまりに段階的に進めると、金利が長期間低水準にとどまる期待を抱かせてしまう」とも語り、バランスを取る重要性を強調した。
 景気を熱しも冷ましもしない金利水準は広く、「適切な利上げ幅を特定するのは非常に難しい」とも指摘した。
 植田氏は最近の米国の雇用情勢を巡る方向感がつかみにくいと指摘した上で、米経済の行方を注視する考えも示した。米国の雇用情勢は7月の指標が金融市場の想定を下回ったが、9月は大きく回復。米連邦準備制度理事会(FRB)が11月に政策金利を大幅に下げるとの期待は後退している。