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品不足で集荷競争 コメ価格上昇 底堅い需要、先行き見えず


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 コメ価格の上昇が止まらないのは、品不足を受け卸業者間で新米(2024年産米)の集荷競争が激しくなり、高値で仕入れた分が反映されたのも大きな要因だ。政府は当初、新米が出回れば価格は下がるとの見解を示していたが、高くても食べたいという底堅いコメ需要を背景に先行きを見通せなくなった格好だ。 (1面に関連)
 コメの出荷団体と卸売業者が売買する際の「相対取引価格」は、24年産の9月の全銘柄平均が31年ぶりの高値を付けた。東京都内のスーパーなどに納品する卸売業者は「顧客に『コメがない』とは言えない。高値で確保している」と話す。24年産を巡っては、肥料代や光熱費など生産コストの増加を踏まえ、JAグループが農家に支払う「概算金」の増額が相次ぎ、店頭価格にも影響した。8月には台風や南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)に伴い買いだめ需要が発生。さらなる高値を招いた。
 高騰でコメ離れも取り沙汰されたが、ある政府関係者は「パンや麺類などへの代替消費が思ったほど進まず高値でも一定のコメ需要があった」と話す。小里泰弘農相は今月25日の閣議後記者会見で「価格は需給バランスなど民間の取引環境の中で決まる」と述べるにとどめ、今後の価格見通しへの言及は避けた。