訪日客が1~7月にクレジットカードを利用した金額が、新型コロナウイルス流行前に当たる2019年の同期間比で1・46倍に増えたことが19日、三井住友カードの調査で分かった。45都道府県でコロナ前を上回り、宿泊やレジャーでの消費が伸長した。国別では中国人が最も多いが、19年に比べると利用規模は半減していた。
三井住友カードの加盟店で訪日客の主要カード決済額を分析するサービス「Custella(カステラ)」で比較。旅行者数が増えていることに加え、円安が消費を刺激している。地方の小規模店舗でも端末が普及したことも要因という。
業種別ではホテル・旅館が利用額の2割を占め最大となった。コロナ前比は2・1倍で、滞在日数が増加し、単価も上昇した。レジャーは3・4倍、飲食店・レストランも3・3倍だった。
レジャーや飲食といった体験型消費が伸びた一方、かつて中国人がけん引していた百貨店は9・5%減、ドラッグストアは54・1%減だった。
国・地域別の利用額では中国に次いで米国、台湾、韓国の順だった。中国を除くと多くの国がコロナ前比で2~3倍程度伸びた。中国人の1人当たりの利用額は2割近く増えたが、訪日客数が回復しておらず、合計で52・1%減となった。
都道府県別の伸び率は、温泉旅館が人気の山形が5・8倍で最も大きかった。和歌山は高野山周辺の宿坊が伸び4・5倍。台湾・香港客で伸びた熊本が3・5倍で続き、半導体受託生産の台湾積体電路製造(TSMC)の工場建設によるビジネス需要の可能性がある。オーストラリア人のスキー需要が旺盛な新潟は3・5倍だった。中国客減の落ち込みが響いた三重は59・8%減、岡山は7・9%減とコロナ前を下回った。三井住友カードは金額は開示していない。
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訪日客カード消費1.46倍 45都道府県 コロナ前超え
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琉球新報朝刊